「ジョージア州サンディスプリングス市行政視察報告
~市役所の業務委託化とシティマネージャー制度」に出席しました。

 

講師は、東洋大学PPP研究センター難波悠先生と三浦市役所徳江市長室長です。

3月3日から8日の官民連携の最先端アメリカ視察の報告。
今回の視察の視点は、市役所の経営力を高めるために
市役所業務の委託化とシティマネージャーに焦点を当てて、
その歴史やメリットデメリット、現在の状況や今後の課題などを
総合的に学び、三浦市のシティマネジメントに取り入れていくことにあります。

<シティマネージャー制度とは?>…
アメリカでは、自治体によって(6割)「シティマネージャー」
という行政経営の専門職を置き、市長(議会)に任命されます。
イメージは、日本の副市長の役割と権限が最も近いです。
専門の教育を受けて、様々な自治体を回りステップアップしていきます。
日本においても、シティマネージャーの重要な責務である
歳入歳出の適正な均衡、効率性の確保、コスト削減、コンプライアンス、
アカウンタビリティの確保はシティマネジメントに不可欠な要素です。

経営者オリバー•ポーター氏を中心に市民運動から、
2005年フルトン郡の中から「サンディ•スプリングス市」をつくりました。
人口は、9万4,000人。市役所業務を包括的民間委託します。
市成立のための住民投票を実施してから、設立まで、半年しかなく、
経営視点から、委託という手法が選択され、委託化を受ける会社があった。
包括委託した理由は、規模が大きいほど、シナジー効果が生まれやすいし、
小さい規模では失敗するとすぐに直営に戻してしまう可能性がある。
既存の市に対して、PPP(Public Private Partnership)のモデルを
適用するためには、政治的リーダーシップと労働者の雇用問題の
二つの課題を解決しなければならない。
PPPによる効率化で新たなサービス提供や課題解決が可能になっています。
●道路のメンテナンス範囲が広がった。
●市民の満足度が非常に高い

<ラスティ•ポール市長 インタビュー>
「民間組織の利点は、職員のモチベーション向上」
「突き詰めれば、すべての業務遂行は公務員でなくてもよい、と考えている」
「業務委託の期間は3~5年の定めで、モチベーションが維持され
業務に対する本気度が変わる」
「公務員の長期雇用、同一賃金、年功序列の制度の中ではモチベーション維持は難しい」

<シティマネージャー マクドナ氏 インタビュー>
新しい予算編成の手法として、「Priority-based budgeting」
という手法を考案、実施している。
各部門から提出された来年度の事業予算要望について、
市長•議員のそれぞれに優先順位づけをしてもらい、それを点数化して順位づけし、
翌年度の全体予算の範囲内で実行していくものである。
特に設備投資関係は議員が地元から様々な要望を受けることも多く、
市民向けの説明にも使うことができる。

<サンディスプリングス市議会>
議会は市長1名と議員6名で構成。議案を部長級やシティマネージャーが説明し、
必要に応じてシティマネージャーやシティラーク(市書記官)に意見を求める。
議会は公開で、議案について意見を持つ市民は、
あらかじめ申請しておくことで、議会の中で直接自分の考えを述べることができる。
市側の提案を、市民の意見を聞きながら判断し、
時には修正案を示しながら、市民の目の前で採決を行う。

<サンディスプリングスを目指した自治体→ダンウッディDunwoody市>
固定資産税も平均年収も高いまちであり、Dunwoodyが自分たちで
市をつくるきっかけは、払った税金よりも低いサービスしか
受けていないという認識から。
一社一括ではなく、専門性の視点で業務を分割するなど
委託の形態も徐々に洗練されてきた。
<市役所業務のモチベーションは、待遇の問題>
市役所職員の給与が公開されていて、自治体間差をつけ辛いが、
民間企業の給与であれば、実力に合っただけの報酬が出せる。

「自分たちのまちのことは自分たちで決めたい」
「声が届いていない」「自分たちを代表する人にまちを運営してほしい」、
という問いが、新しい市を設立する共通の答え。

 

三浦市がより一層職員数削減をするのであれば、
市役所業務の委託化等官民連携の進展が不可欠です。
最小の経費で最大の効果を上げることはもちろん、
なによりも市民の満足度向上が目的となる改革を望みます。

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