2014年、「大・労働力不足時代」に入ったといわれています。
一部外食チェーンでは、従業員が確保できずに店舗休業に追い込まれています。
居酒屋「和民」を手掛けるワタミでは、
正社員が過重労働で自殺したことで損害賠償請求を起こされて、
インターネット上では労働環境の劣悪さ等批判が多数書きこまれ、
4月入社の新卒採用者は120名と当初目標の半分にとどまりました。
3月のパートタイム労働者を含むサービス業の有効求人倍率は2.01倍と
全産業平均の約2倍で、2社の求人に対して求職者が1人しかいない状況。
求職者が企業を選別する動きは今後も強まるでしょう。
「経営者は人材確保のため、労働環境や企業イメージに目配りしなければならない」
京都学園大学大島博行教授
「安価な労働力の獲得が難しくなる。単価を引き上げて利幅を拡大する
ビジネスモデルへの転換が求められている」日本総研山田久チーフエコノミスト
総務省のデータによりますと、2013年7900万人いる生産年齢人口が、
2020年東京オリンピックの年では予測値によると7300万人。
わずか7年で600万人が減る計算です。
『日経新聞 5.28「大機小機」』より
「 景気拡大が続く中で、雇用情勢が急速に改善している。
2012年10月に4.1%だった失業率は、今年3月には3.6%に低下し、
同じく0.82倍だった有効求人倍率は1.07倍に上昇した。
賃金も緩やかに上昇しつつあるようだ。
さらに一部の業界では、労働力不足が経済拡大の制約要因となりつつある。
建設労働者の不足が公共事業の執行を難しくし、パート・アルバイトに依存していた
スーパーやファストフード店などで事業展開が難しくなってきている。
もともと足りない介護関連は、ますます手当てが難しい。
こうした現象は、景気変動による短期的なものではなく、
潜在的な労働力不足が顕在化したと考えられる。
日本の生産年齢人口は、1995年の8730万人をピークに一貫して減り続けており、
13年(10月1日現在)ついに7900万人になった。
全人口に占める比率も、同じ期間で69.5%から62.1%に低下した。
これに伴い、労働力人口も98年の6793万人をピークに減り、13年は6577万人となった。
15年間で216万人も減ったことになる。
労働力が減ってきたにもかかわらず、現実には労働力不足は発生せず、
逆に、雇用情勢の悪化を懸念する状態が続いてきた。
これは、労働力の供給も減ったが、経済実態面で労働力の需要が
もっと減ったからである。表面化しなかったが、潜在的な労働不足要因は常に底流にある。
労働力の「天井」はどんどん低くなっていたわけだ。
景気が好転して労働需要が拡大し始めると、日本経済はたちまち、
労働力の「天井」にぶつかってしまった。これが突然やってきた労働力不足の理由である。
今後、生産年齢人口の減少が続くことは確実だ。
ある程度、高齢者や女性の労働参加率を高めたとしても、
労働力人口は趨勢として減り続けることもまた確実である。
政府は長期的な観点から、女性や高齢者の労働参加率が高まるような環境を整え、
外国人労働力の選択的流入を促していく必要がある。
また、企業は、労働環境を整備して人材を確保して行かないと、
国内では生き残れなくなるだろう。
2014年は日本経済が「大・労働力不足時代」に入った年として
長く記憶されることになるだろう。 (隅田川) 」